12月25日、護と雅と樹の居酒屋トォク!
【とある居酒屋:夕】
藤堂雅 「…………」
藤堂樹 「……兄さん? もしや食事が口に合いませんでしたか?」
藤堂雅 「はは、そうじゃねぇさ。……少し考えごとをな?」
藤堂樹 「仕事のことですか?」
藤堂雅 「いや……実は昨日、サンタ姿の神楽坂さんを目撃したんだが」
藤堂樹 「12月に良く見るチラシ配り、もしくは店外でケーキの予約を募る労働でも?」
藤堂雅 「……お前、この島の英雄を何だと思ってるんだ」
藤堂雅 「島外から来た客に意訳すれば『サンタからのプレゼントだ』と言って最中を渡してたよ」
大井川 「いやあ、あの旦那は時たま突拍子もないことを始めますからねー。もぐもぐ……」
藤堂樹 「…………」
藤堂樹 (……何故彼はしれっと俺達の食事に同席して尚且つ味噌田楽を食しているのか)
藤堂雅 「……だが、それを見た俺はいたく感動してな?」
大井川 「えっ……ねえ樹くん、君のお兄さん大分酔ってない?」
藤堂樹 (そして何故彼は年上の俺を『樹くん』と呼ぶのか)
大井川 「樹くん? もしもーし?」
藤堂樹 「兄は酩酊したことなど一度もありません」
大井川 「酔ってなかったら素でサンタ姿の旦那を見て感動したって言ってるってこと? その方がよっぽどまずいんじゃ?」
藤堂樹 「貴方、この島で英雄ともてはやされる神楽坂響に何か恨みでも?」
大井川 「えっ、君もさっき同じようなこと言ったのに? ……あの、藤堂社長。もしよければ昨日の顛末を語ってもら――」
藤堂雅 「だから俺もサンタクロースになろうかと思ってな」
大井川 「クリスマスも残り数時間だというのに今更!?」
藤堂樹 「……何か問題が?」
大井川 「あ、いえ……なんでもないです……」
藤堂雅 「よし、樹。藤堂呉服も日頃の感謝を込めクリスマス商戦としゃれ込むぞ」
大井川 「あっ、えっ……? あの、サンタになるなら無料配布なのでは……?」
藤堂樹 「何故そんな慈善活動を我々がしなければならないのですか?」
大井川 「樹くん、頼むから自分の意見を持って?」
大井川 (なんてこった……空気役が心底似合う俺がツッコミ役にならざるを得ないだと……?)
藤堂雅 「まあ、確かに大井川の兄さんが言うことも一理ある。クリスマス商戦はさておき、何か目新しい企画を考えたいところだが」
大井川 (良かった……自動で軌道修正が入った……)
藤堂雅 「おい樹、何か良い案はないか?」
藤堂樹 「そうですね……兄さんの図案力は銀河級ですし、制服を着用する場に意匠料込みで売り込むのはどうでしょうか」
藤堂樹 「藤堂呉服の敏腕若社長であり図案家でもある藤堂雅が誂えた制服となれば、欲しがる人間は数多いるでしょう」
藤堂雅 「なるほど……確かにそれはありだな。ならこれから制服の意匠改良や新規作製を検討してる企業なり学校なりを――」
藤堂樹 「待ってください。兄さんの考案する制服に袖を通すのですから、そこら辺の一般企業や凡人の通う学校であっていいはずがない」
藤堂樹 「なので、ここは一流企業か金持ち学校を狙いましょう」
大井川 (樹くん、相当藤堂社長のことが好きなんだろうなぁ……他人と話す時は虚無の目をしてるのに、お兄さんに向ける目は生き生きしてる)
藤堂雅 「……お前のことだ。そこまで言うってことは、その一流企業や金持ち学校とやらは既に見繕ってあるんだろ?」
藤堂樹 「学校の方だけなら見当をつけてます。こちらの写真をどうぞ」
大井川 (うお、まるで海外の城のような作りの……これが学校? 規模が違う……)
藤堂樹 「こちらは皇(すめらぎ)学園(@takuyo_himeawb )と言います。全寮制の男子校で、巷では王子様養成所と言われているとか」
藤堂雅 「勧める根拠は?」
藤堂樹 「この学園には特別な位置づけの生徒が数名おり、他の生徒たちが着ている物とは違った意匠の制服を纏っているのです」
藤堂樹 「なので単純に考えて意匠料が倍以上見込めるかと」
藤堂雅 「なるほど? ……で、その特別な生徒たちってのはどんな奴なんだ?」
藤堂樹 「こちらの写真をご覧ください」
藤堂雅 「皇千晴(すめらぎちはる) ……ふぅん。この優雅さに満ち溢れた紳士的で正統派な王子様って感じの面構えは……こいつ、この学園NO.1だろ」
大井川 (……え、びっくりするくらい説明くさい……商売柄なのか?)
藤堂樹 「はい、兄さんの見立て通りです。この彼を筆頭にこちらとこちらの彼……」
藤堂雅 「ふむ……荒城政宗(あらしろまさむね) か。こっちは一見強引そうで威圧感を覚え勝ちだが男気と度量の広さが半端なさそうだな」
大井川 「…………」
大井川 (…………え? これってまさかのツッコミ待ち? この兄弟、俺にツッコミを求めてる?)
藤堂雅 「だがこの穏やかで人当たりが良さそうだが二面性も垣間見える仙僧供夢慈(せんぞくゆめじ) ってやつは生徒じゃねぇだろ?」
藤堂樹 「仰る通り、彼は教員です。ですが彼も特別な立ち位置らしいので、普段使いの背広を仕立てるのも良いかと」
大井川 (……いやいや、例えボケだったとしても俺は空気系お兄ちゃんで売ってるんだ。聞かなかったことにするぞ!)
藤堂樹 「それに加えてこちらの眼鏡の彼ですが……」
藤堂雅 「おい、この八十八騎一角(とどろきかずみ)って奴は……こう、なんだ……冷たい印象の中に仄かに感じる“ユニコーン”の五文字――」
大井川 「突然の雑!?」
藤堂樹 「……何ですか? 藤堂呉服の代表である藤堂雅が話している最中に大声を上げるなどとは余程のことですよ。頭にロウソクを二本突き刺した白装束でピンク頭の女が島の住人でも屠り始めましたか?」
大井川 「いいえ何でもないです。済みませんでした」
藤堂雅 「! 樹……こいつは……」
藤堂樹 「流石です。兄さんも気付きましたか?」
藤堂雅 「当たり前だろ? こんなの誰が見ても明白だ。大井川、お前も見てみろ。この写真の男……」
大井川 「紙袋中人(かみぶくろなかひと)……? 俺にはただの不審者にしか見えませんが」
藤堂雅 「……いや、こいつは金を稼ぐことが何よりの生き甲斐って顔をしてやがる」
大井川 「紙袋被ってて表情全く分からないんですけどォ?!?!!?」
藤堂樹 「何ですか藤堂呉服の代表である藤堂雅が話している最中に大声を上げるなどとは余程のことですよ好きな女の言いつけを破って自分も火に撒かれてしまいなさい」
大井川 「本当にすみませんでした。……ええと、写真から分かるなんて、商売人ってすごいんですね……?」
藤堂樹 「当たり前でしょう、藤堂呉服の代表なのですから」
大井川 「あ、はい」
藤堂雅 「さってと……そろそろここはお開きにして、月の畔にでも行くか?」
大井川 「えっ」
藤堂樹 「気は進みませんが兄さんが行くのでしたら」
藤堂雅 「お前、本当にあそこの女将には容赦ないな。飯は美味いだろ?」
藤堂樹 「…………さあ」
大井川 「あの、何故突然月の畔に……? 制服どうのこうの話もまだ終わってな――」
藤堂雅 「そんなもん美味い酒とつまみが食いたいからに決まってるだろ? 後、さっきのは酒の席の戯言だ」
藤堂樹 「ああ、貴方はまだ飲酒出来ない年齢でしたっけ」
大井川 「………………なるほど」
藤堂雅 「ん? どうした?」
大井川 「呑めないとは言え藤堂呉服で有名なお二人の酒席に同席出来たのは貴重な体験でした。ありがとうございます」
大井川 「今日のことは藤堂呉服の若社長とその右腕の華麗なる居酒屋トォクとでも題して何時か記事にさせて頂けたらなと思う所存です」
藤堂雅 「おお、良いぜ? アンタの食い扶持に多少なりともなるなら、こんなに目出度いことはねぇしな?」
大井川 「流石藤堂社長、今後ともよろしくお願いします」
大井川 (……うん、流石俺。妹の旦那候補として目を付けた男は軒並み食えない相手であることが判明)
大井川 (でもその方が妹の相手としてふさわしい訳だが)
藤堂樹 「何を突然真面目な顔をしているのです?」
大井川 「いやあ、妹にいい土産ができたなと思いましてね?」
藤堂樹 「……?」
藤堂雅 「……まあ何でもいいさ。ほら、早くしねえと月の畔も店仕舞いの時間になっちまうだろ?」
大井川 「はい。……あ、でも今日は」
藤堂雅 「何かあるのか?」
大井川 「いや、そういえば妹が友人(兼、旦那候補)数名と、宴的な何かをするかもしれないなと」
藤堂雅 「あん? ……なら長居はできねえな。今日は止めとくか?」
大井川 「いえいえ是非! お二人なら妹も大歓迎だと思いますから!」
藤堂樹 「そこまで言われると行きたくなくなるのですが」
大井川 「そこを何とか!」
藤堂雅 「……俺達が邪魔になりそうなら途中退場って手もあるしな。樹もたまには俺以外の人間と喋る場を作っとけ。な? 仕事以外で」
藤堂樹 「………………分かりました」
大井川 「よし、そうと決まれば先に行ってます! お二人のこと、妹に話しときますんで!」
藤堂雅 「あ、おい! ……って、行っちまったな。全く、随分と賑やかな男だよ」
藤堂樹 「……ですが昼行燈と見せかけて心の内では必要以上に頭を働かせる性質と見ました。彼は関わり合いになりたくない人種です」
藤堂雅 「あれでまだ二十歳前ってのが末恐ろしいところだが……ま、仲良くしとくに越したことはないだろ? 敵にするよりは」
藤堂樹 「ええ、確かに」
藤堂雅 「……そんじゃま、ぼちぼち移動し始めますか」
藤堂樹 「はい兄さん。仰せのままに」
藤堂雅 「ところでさっきの皇学園(@takuyo_himeawb)ってのは、実在する場所なのか?」
藤堂樹 「さあどうでしょう? 何せ酒の席での話ですから」
藤堂雅 「全く……お前も大人になったもんだ」
…… We wish you a Merry Christmas!
藤堂雅 「…………」
藤堂樹 「……兄さん? もしや食事が口に合いませんでしたか?」
藤堂雅 「はは、そうじゃねぇさ。……少し考えごとをな?」
藤堂樹 「仕事のことですか?」
藤堂雅 「いや……実は昨日、サンタ姿の神楽坂さんを目撃したんだが」
藤堂樹 「12月に良く見るチラシ配り、もしくは店外でケーキの予約を募る労働でも?」
藤堂雅 「……お前、この島の英雄を何だと思ってるんだ」
藤堂雅 「島外から来た客に意訳すれば『サンタからのプレゼントだ』と言って最中を渡してたよ」
大井川 「いやあ、あの旦那は時たま突拍子もないことを始めますからねー。もぐもぐ……」
藤堂樹 「…………」
藤堂樹 (……何故彼はしれっと俺達の食事に同席して尚且つ味噌田楽を食しているのか)
藤堂雅 「……だが、それを見た俺はいたく感動してな?」
大井川 「えっ……ねえ樹くん、君のお兄さん大分酔ってない?」
藤堂樹 (そして何故彼は年上の俺を『樹くん』と呼ぶのか)
大井川 「樹くん? もしもーし?」
藤堂樹 「兄は酩酊したことなど一度もありません」
大井川 「酔ってなかったら素でサンタ姿の旦那を見て感動したって言ってるってこと? その方がよっぽどまずいんじゃ?」
藤堂樹 「貴方、この島で英雄ともてはやされる神楽坂響に何か恨みでも?」
大井川 「えっ、君もさっき同じようなこと言ったのに? ……あの、藤堂社長。もしよければ昨日の顛末を語ってもら――」
藤堂雅 「だから俺もサンタクロースになろうかと思ってな」
大井川 「クリスマスも残り数時間だというのに今更!?」
藤堂樹 「……何か問題が?」
大井川 「あ、いえ……なんでもないです……」
藤堂雅 「よし、樹。藤堂呉服も日頃の感謝を込めクリスマス商戦としゃれ込むぞ」
大井川 「あっ、えっ……? あの、サンタになるなら無料配布なのでは……?」
藤堂樹 「何故そんな慈善活動を我々がしなければならないのですか?」
大井川 「樹くん、頼むから自分の意見を持って?」
大井川 (なんてこった……空気役が心底似合う俺がツッコミ役にならざるを得ないだと……?)
藤堂雅 「まあ、確かに大井川の兄さんが言うことも一理ある。クリスマス商戦はさておき、何か目新しい企画を考えたいところだが」
大井川 (良かった……自動で軌道修正が入った……)
藤堂雅 「おい樹、何か良い案はないか?」
藤堂樹 「そうですね……兄さんの図案力は銀河級ですし、制服を着用する場に意匠料込みで売り込むのはどうでしょうか」
藤堂樹 「藤堂呉服の敏腕若社長であり図案家でもある藤堂雅が誂えた制服となれば、欲しがる人間は数多いるでしょう」
藤堂雅 「なるほど……確かにそれはありだな。ならこれから制服の意匠改良や新規作製を検討してる企業なり学校なりを――」
藤堂樹 「待ってください。兄さんの考案する制服に袖を通すのですから、そこら辺の一般企業や凡人の通う学校であっていいはずがない」
藤堂樹 「なので、ここは一流企業か金持ち学校を狙いましょう」
大井川 (樹くん、相当藤堂社長のことが好きなんだろうなぁ……他人と話す時は虚無の目をしてるのに、お兄さんに向ける目は生き生きしてる)
藤堂雅 「……お前のことだ。そこまで言うってことは、その一流企業や金持ち学校とやらは既に見繕ってあるんだろ?」
藤堂樹 「学校の方だけなら見当をつけてます。こちらの写真をどうぞ」
大井川 (うお、まるで海外の城のような作りの……これが学校? 規模が違う……)
藤堂樹 「こちらは皇(すめらぎ)学園(@takuyo_himeawb )と言います。全寮制の男子校で、巷では王子様養成所と言われているとか」
藤堂雅 「勧める根拠は?」
藤堂樹 「この学園には特別な位置づけの生徒が数名おり、他の生徒たちが着ている物とは違った意匠の制服を纏っているのです」
藤堂樹 「なので単純に考えて意匠料が倍以上見込めるかと」
藤堂雅 「なるほど? ……で、その特別な生徒たちってのはどんな奴なんだ?」
藤堂樹 「こちらの写真をご覧ください」
藤堂雅 「皇千晴(すめらぎちはる) ……ふぅん。この優雅さに満ち溢れた紳士的で正統派な王子様って感じの面構えは……こいつ、この学園NO.1だろ」
大井川 (……え、びっくりするくらい説明くさい……商売柄なのか?)
藤堂樹 「はい、兄さんの見立て通りです。この彼を筆頭にこちらとこちらの彼……」
藤堂雅 「ふむ……荒城政宗(あらしろまさむね) か。こっちは一見強引そうで威圧感を覚え勝ちだが男気と度量の広さが半端なさそうだな」
大井川 「…………」
大井川 (…………え? これってまさかのツッコミ待ち? この兄弟、俺にツッコミを求めてる?)
藤堂雅 「だがこの穏やかで人当たりが良さそうだが二面性も垣間見える仙僧供夢慈(せんぞくゆめじ) ってやつは生徒じゃねぇだろ?」
藤堂樹 「仰る通り、彼は教員です。ですが彼も特別な立ち位置らしいので、普段使いの背広を仕立てるのも良いかと」
大井川 (……いやいや、例えボケだったとしても俺は空気系お兄ちゃんで売ってるんだ。聞かなかったことにするぞ!)
藤堂樹 「それに加えてこちらの眼鏡の彼ですが……」
藤堂雅 「おい、この八十八騎一角(とどろきかずみ)って奴は……こう、なんだ……冷たい印象の中に仄かに感じる“ユニコーン”の五文字――」
大井川 「突然の雑!?」
藤堂樹 「……何ですか? 藤堂呉服の代表である藤堂雅が話している最中に大声を上げるなどとは余程のことですよ。頭にロウソクを二本突き刺した白装束でピンク頭の女が島の住人でも屠り始めましたか?」
大井川 「いいえ何でもないです。済みませんでした」
藤堂雅 「! 樹……こいつは……」
藤堂樹 「流石です。兄さんも気付きましたか?」
藤堂雅 「当たり前だろ? こんなの誰が見ても明白だ。大井川、お前も見てみろ。この写真の男……」
大井川 「紙袋中人(かみぶくろなかひと)……? 俺にはただの不審者にしか見えませんが」
藤堂雅 「……いや、こいつは金を稼ぐことが何よりの生き甲斐って顔をしてやがる」
大井川 「紙袋被ってて表情全く分からないんですけどォ?!?!!?」
藤堂樹 「何ですか藤堂呉服の代表である藤堂雅が話している最中に大声を上げるなどとは余程のことですよ好きな女の言いつけを破って自分も火に撒かれてしまいなさい」
大井川 「本当にすみませんでした。……ええと、写真から分かるなんて、商売人ってすごいんですね……?」
藤堂樹 「当たり前でしょう、藤堂呉服の代表なのですから」
大井川 「あ、はい」
藤堂雅 「さってと……そろそろここはお開きにして、月の畔にでも行くか?」
大井川 「えっ」
藤堂樹 「気は進みませんが兄さんが行くのでしたら」
藤堂雅 「お前、本当にあそこの女将には容赦ないな。飯は美味いだろ?」
藤堂樹 「…………さあ」
大井川 「あの、何故突然月の畔に……? 制服どうのこうの話もまだ終わってな――」
藤堂雅 「そんなもん美味い酒とつまみが食いたいからに決まってるだろ? 後、さっきのは酒の席の戯言だ」
藤堂樹 「ああ、貴方はまだ飲酒出来ない年齢でしたっけ」
大井川 「………………なるほど」
藤堂雅 「ん? どうした?」
大井川 「呑めないとは言え藤堂呉服で有名なお二人の酒席に同席出来たのは貴重な体験でした。ありがとうございます」
大井川 「今日のことは藤堂呉服の若社長とその右腕の華麗なる居酒屋トォクとでも題して何時か記事にさせて頂けたらなと思う所存です」
藤堂雅 「おお、良いぜ? アンタの食い扶持に多少なりともなるなら、こんなに目出度いことはねぇしな?」
大井川 「流石藤堂社長、今後ともよろしくお願いします」
大井川 (……うん、流石俺。妹の旦那候補として目を付けた男は軒並み食えない相手であることが判明)
大井川 (でもその方が妹の相手としてふさわしい訳だが)
藤堂樹 「何を突然真面目な顔をしているのです?」
大井川 「いやあ、妹にいい土産ができたなと思いましてね?」
藤堂樹 「……?」
藤堂雅 「……まあ何でもいいさ。ほら、早くしねえと月の畔も店仕舞いの時間になっちまうだろ?」
大井川 「はい。……あ、でも今日は」
藤堂雅 「何かあるのか?」
大井川 「いや、そういえば妹が友人(兼、旦那候補)数名と、宴的な何かをするかもしれないなと」
藤堂雅 「あん? ……なら長居はできねえな。今日は止めとくか?」
大井川 「いえいえ是非! お二人なら妹も大歓迎だと思いますから!」
藤堂樹 「そこまで言われると行きたくなくなるのですが」
大井川 「そこを何とか!」
藤堂雅 「……俺達が邪魔になりそうなら途中退場って手もあるしな。樹もたまには俺以外の人間と喋る場を作っとけ。な? 仕事以外で」
藤堂樹 「………………分かりました」
大井川 「よし、そうと決まれば先に行ってます! お二人のこと、妹に話しときますんで!」
藤堂雅 「あ、おい! ……って、行っちまったな。全く、随分と賑やかな男だよ」
藤堂樹 「……ですが昼行燈と見せかけて心の内では必要以上に頭を働かせる性質と見ました。彼は関わり合いになりたくない人種です」
藤堂雅 「あれでまだ二十歳前ってのが末恐ろしいところだが……ま、仲良くしとくに越したことはないだろ? 敵にするよりは」
藤堂樹 「ええ、確かに」
藤堂雅 「……そんじゃま、ぼちぼち移動し始めますか」
藤堂樹 「はい兄さん。仰せのままに」
藤堂雅 「ところでさっきの皇学園(@takuyo_himeawb)ってのは、実在する場所なのか?」
藤堂樹 「さあどうでしょう? 何せ酒の席での話ですから」
藤堂雅 「全く……お前も大人になったもんだ」
…… We wish you a Merry Christmas!
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