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11/23は勤労感謝の日!!!

すっげー久し振りだな!元気にしてたか?妹達よ!

本日11/23は勤労感謝の日!

『勤労を尊び、生産を祝い、国民がたがいに感謝しあう日』……らしいぞ?

実際には、働いている人間に対するご褒美として祝日が1日追加されているだけのような気もするがな!

……という訳で、今日は“日々一生懸命働いているというのに誰にも感謝なんてしてもらえない!”

そんな妹達の気持ちに応えて、いつかのブラック♥バレンタイン(※1)で没になったネタを特別公開しちゃうぞ☆

俺のこの手の中には、全員のものがあるんだが、

くじ引きで選んだ結果……な、なななななんと!!

理也くんのものを公開することになったから、喜んでくれ妹達よ!!

という訳で早速公開を……と思ったんだが、ん、なになに……?

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このネタは【月影の鎖 ~狂爛モラトリアム~】の【花柳街アナザーバッドエンド】の続きになります。
どこにネタバレが潜んでいるかわからないので、お読みの際は十分気を付けてください。

【月影の鎖 ~狂爛モラトリアム~】の【花柳街アナザーバッドエンド】自体、
本編とは全く違った物語であり立ち位置、関係性も違う特殊設定なので、
可能であれば【月影の鎖 ~狂爛モラトリアム~】の【花柳街アナザー望月バッドエンド】を
クリアしてから読むことをオススメします!

※また、こちらは元あったプロットメモ(アナログ)をデータに書き起こしたものです
 内容は変えず原文を読みやすい文体に修正している部分があります。ご了承ください

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おお、注意書きまで書かれてた!

なんだか色々書いてあるけど、つまりは【FDのネタバレがあるかも知れないから読む時は気をつけろ】ってことだな。

っつーわけで、今度こそちゃんと掲載するから……気になる妹達は 【 続きから 】 よろしくな♪



(※1:『ブラック♥バレンタイン』は以前行われた月影の鎖のバレンタインツイッター企画。
    RT数1位になった榛名には『依存バッドEND』、最下位になった大井川には『依存END』のSSが作られた)




※ところで先月拍手にコメントをくれた妹よ、返事が遅れてごめんな!
  通販やサントラに関する問い合わせは 【 support@takuyo.co.jp 】 の方に送ってもらえれば回答してもらえるはずだ!
  ……という訳で、申し訳ないがこっちに頼む!嬉しいコメントありがとな!




役所の方に部屋を借りることになった神楽坂さんが紅華楼を出て行って暫くした頃、

彼女は客のひとりに魅入られて、そのまま身請けされることになった。

彼女はとても嫌がっていた。俺は毎夜そんな彼女をただ慰め続けた。

一度は彼女を連れて足抜けすることも考えた。

けれど、彼女はそんな俺の考えに気付いたのか突然こんなことを言い出した。

「相手の方、とても良い方みたい。……私、幸せになろうと思います」

足抜けをするのはとても覚悟のいることだ。

この花柳街から抜け出して成功すれば良いが、その可能性は限りなく低く、

捕まってしまえば、どんな折檻を受けるかわからない。

特に俺のような職種に就いている人間は、本来なら足抜けを捕まえなければならない立場だ。

管理しなければならない商品を傷物にして、あまつさえ連れて逃げだそうとなんてしようものなら……

彼女はそれを考えたのかも知れない。他に何も言わず、マッチ箱を俺に返すと本土へと旅立っていった。

悲しかったし、まるで心に大きい穴でも空いたかのような喪失感を味わった。

……好きだったのだろうか。


それから仕事の効率は目に見えて悪くなった。

彼女がいつだったか吹聴してまわっていた俺の評判は、みるみるうちに落ちていった。

自身の噂話は嫌でも耳に入って、俺は自暴自棄に陥った。



3ヶ月後

彼女から手紙が届いた。

『やはり貴方が忘れられません。一週間後の夜半、貴方に会いに参ります』

居ても立っても居られないほどに、胸が高鳴り身体が熱くなる。

一体その時にどうやって外に出れば良いか……気付けば俺はそんなことばかり考えていた。



しかしその日を待たずして、彼女の夫がこの紅華楼を訪れていた。

まさか彼女の画策が露見してしまったのだろうか。何かを戻してしまいそうなほどひどく緊張した。

だが、そういった知らせではなかった。

彼の口から伝えられたのは、彼女の『死』だった。


「妻は交通事故に巻き込まれ亡くなりました。ひどく急いでいたようで道路に飛び出してしまったようです。

 普段はまずそういったことはしないのですが……。

 皆様には妻が良くして頂いたので、そのご連絡をと思い、こうしてご報告に参りました」


襖の向こうで息を殺して話を聞いていた俺は、頭がどうにかなりそうだった。

俺の所為だ。

『俺も顔を見たいです』なんて、手紙を書いてしまった。

こんな生き地獄でも帰ってきて欲しいなんて、望んでしまった。

本来ならば、思いとどまらせなければならなかったのに。



気付けば俺は飛び出していた。

雨が強く地面を叩いているのに、俺は構わず彼女の手紙を携え山の方に向かっていた。

このまま戻らなければ、死ねると思った。



けれど、気付けば俺は檻の中に戻されていた。

ふと、彼女に返されたマッチ箱を見付けて手に取った。

なんの気なしに振ってみれば、それはいつもと違う音を立てる。

開くと、中には小さく折りたたまれた手紙が入っていた。


『私は貴方を忘れません。でも貴方は私を忘れて下さいね。

 貴方は昔の貴方のように、まっすぐに生きて下さい』


なんてことだろう。

“生き地獄を味わえば”

全く俺は彼女に酷なことをした。

取り返しがつかない今になって、再認識させられる。

……今、自分は彼女の為に何が出来るのだろう。

わからないけれど、

ただ彼女が望んでくれるなら

“ 昔の俺のように ” 生きようと心に誓う。



俺の仕事に関する評判は地に落ちている。

重要なことなど何一つとして任せてはもらえないが、それを取り返す為にただ死に物狂いで働いた。

しかし度を越えて体調を崩してしまう。

『使いたい時に使えねぇ』

容赦の無い言葉を受けた。

その時、彼は続けるように言った。

『大体、てめぇが紅華姐さんと通じてたことは皆知ってたんだよ。

 だが姐さんが知らない振りをして、自分の稼ぎを全部ここに入れるっつってたから、お内儀も黙認してただけだ。

 姐さんがお前と使う部屋の近くには俺達はわざと近付かなかった。

 “その時だけは近付かないで欲しい”って懇願してたからな。この話は見世の人間なら誰もが知ってる』

お客の入りこそないものの、周りに人は何人もいた。

俺は愕然として膝を折った。

ざわめき出す周囲。

騒ぎを聞きつけたお内儀がやって来て、俺に言った。


『暗黙の了解だったから罰は与えないでいたが、こうなったら見世のために厳しい戒めを受けてもらわなきゃならない』




そして俺は“罰”の為、檻から出て本土に行くことになった。

“年端もいかない少女の買い付け”。

泣き叫ばれても情など掛けられず、無理矢理連れて行くことしか出来ない。




定期的に本土と残月島紅華楼を行き来する生活。

今は丁度、紅華楼から本土に向けて出発するところだ。

唯一雑談でも話しかけてくれる菖蒲さんが、悲しそうな視線だけこちらに寄越してくれた。

余計なことで話しかけたら、後で彼女自身が何を言われるかわからないからだろう。

「行ってきます」

俺はそれだけ言うと微笑み掛けて、紅華楼を出立した。


船に揺られながら、俺はあのマッチ箱を振る。

「俺、頑張って生きますからね」



本土に行って、俺は少女をひとり買い付けた。

今は亡き彼女に良く似た少女だった。

少女は連れられることを嫌がり、隙を見ると道路に飛び出してしまった。

咄嗟に助けようと飛び出したが、そこには既に車が走ってきていた。

「あ、死ぬ」

俺は生き地獄を全うすることが出来なかったのか……






意識はそこで途切れてしまった。






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